『YOUは何しにまた小豆島へ!』千畳ケ岳

 

今日はなぜか『どこに行くん?』と聞かれなかった。もし聞かれて『小豆島!』と答えたなら、『何しにまた小豆島へ!』と嫌味ぽく聞き返されるだろう。そうなると『小豆島には岩山がたくさんあってスリルがあって』とは決して言えずに返答に困っていただろう。ただYAMAPのみまもり機能の設定をしているので、どこの山に出かけたかは結果的には分かってしまうので、家に帰ったなら『また小豆島にいってたん』と言われるかもしれない。その時には『そこに山があるから・・!』と答えよう。

なんて考えを巡らせながら今日も小豆島へ出かけてきた。寒霞渓の馬の背・西の石門洞雲山・碁石大嶽とあまり県内の里山にはない特徴的なそして魅力的な山が小豆島にはある。そして岩肌登りやロープ場の楽しさに味を占めた西の奥様に、今日はさらに吉田の三山を提案してみた。

吉田山・吉田富士は以前にWOC登山部で登ったことはあったが、その西にある千畳ケ岳は未登の山。しかも途中にはロープ場があり、山頂には絶景が広がっているらしい。そうなるともちろん奥様は断る理由もなく、性懲りもなくまた出かけることとなった。

 

いつもの様に、7時20分発の土庄行のフェリーに乗り、土庄から今回初めて北回り福田行のバスに乗る。但しフェリーが到着するのが8時20分で、土庄港発のバスが8時21分発なので慌ただしい。私たちは今回平和の群像前から22分発のバスに乗った。小豆島オリーブバスの料金は150円と300円の二つしか設定されていない。150円区間を過ぎれば今回のように土庄から吉田の様に島でも一番遠くになる地区でも、どれだけ乗っても300円なのだ。

今シーズンは全て島の南側のバス移動だったので、北側の海岸線の景色は新鮮に感じる。クネクネと海岸線を走るバスは9時5分に吉田のバス停に着いた。

 

 

バスを降りると直ぐに美味しそうな?岩肌が目に飛び込んでくる。吉田ダムの横の岩壁は、吉田の岩場と呼ばれ、関西からでも大勢のロッククライマーがやって来るらしい。その右側には今日のメインディシュの千畳ケ岳の白い岩肌が見えている。その千畳ケ岳から北にも緑の山肌の上にびしゃ岳の岩肌が見えている。バス停からはすぐの吉田川に沿って西に歩いて行く。

 

 

 

川沿いの道の道幅が変わる場所から右にふるさと交流館があるが、登山口はその一つ奥の道に入って行く。舗装路の脇に登山口の目印の赤テープがぶら下がっていて、ここからはルリちゃんとは別れてあっちゃんと二人での歩きとなる。

 

 

取り付きからすぐにイノシシ避けの柵があり、通った後はちゃんと戸締りして歩いて行く。常緑樹の木々の中、あまり陽が当たらず、手袋を脱いで柵の紐を結び直そうとするが、指がかじかんでなかなかうまく結べない。

 

道には落ち葉がたっぷり積もっていて踏み跡が分りづらいが、とにかくテープがけっこうな間隔であるので、迷うことはない。途中で小さな砂防ダム突堤を渡ると道の傾斜は急になってくる。

 

 

 

いままで陽が当たらず寒かった身体も、急登になってくるとやはり汗を掻き始め、暑くなってきたので上着を一枚脱いで登って行く。そのうちに目の前に大きな岩塊が現れる。横から見るとクジラの顔に見える。

 

 

 

そしてその岩肌にボルトが打ち込まれているのをあっちゃんが見つけた。ボルトは岩塊の上の方まで続いている。その足元から素人の二人がどうやって登って行くのか見上げてみるが、最初のボルトまでで足掛かり、手掛かりが分からない。二人であ~だ、こ~だと言って結局『分からない、登れない』となった。(そりゃそうだ)

 

 

その岩塊を左に巻いて登って行くと今日最初のロープ場。ロープには結び目があり、足掛かりがあるので高ささえ気にならなければ簡単に登れる。

そのロープ場を登ると今回一番気になっていたカニの横ばい。ただここも幅は1mにも満たないが、高所恐怖症でなければ問題がなかった。その足元の下を覗き込んで『ここから落ちてもあそこの木か、その下の木に引っ掛かるから大したことないわね』とあっちゃん。『たしかに木に引っ掛かって止まるかもしれないけれど、ただでは済まないです』と私。

 

 

 

トラバースを過ぎて二つ目のロープ場を上がると麓の吉田川と、吉田ダムに続く道を見下ろせた。ダム横の岩場の頂部なるのだろうか、頭の上に数本立っている木が可愛らしい。

 

 

 

 

 

そこからすぐ上の岩壁にもボルトが埋め込まれている。本格的な岩場は吉田ダムの方にあるらしいが、とにかくこちらの岩壁もそこらじゅうにルートを作っている。

するとあっちゃんが斜めに走る突起を見て『あそこは登れそう!』なんて言うもんだから登って見せるも、途中突起が無くなってしまうと半端ない高度感で冷や汗掻いて降りてきた。

 

 

 

 

諦めきれないあっちゃんもチャレンジするもやはり途中で『無理!』と言って降りてきた。

お遊びはやめて岩壁の足元を右に回り込んで、ロープをひとつ登ると目の前にデ~~んと千畳ケ岳の巨岩が目の前に現れる。

 

 

 

その巨岩の足元を回り込んで北側から登りつめると千畳ケ岳の山頂になる。ただし千畳とはオーバーで、平らな部分は10畳?位かな。それでも遮るもののないとは正にこの事。360度の大パノラマが広がっていた。

あっちゃん、それ以上先っちょに行かないでね。』見ているこちらの股間がゾクゾクするわ。

 

 

 

 

東にはこれから歩く吉田富士と吉田山

北には瀬戸内海を挟んで赤穂の工業地帯のエントツ群。

足元には吉田の穏やかな湾

そして南は星ケ城から続く稜線と 四等三角点 岩ケ谷 のあるピークが見える。

 

岩の端部にもボルトが打ち込まれていたので、その下はどうなっているのかと思って端に寄ってみるけど、これ以上は無理です。それをわざわざ寝そべって岩壁の下を覗き込むあっちゃん。『そんなことしたって何もでないですよ!』

 

 

 

次に行く吉田富士は東側に見えているけれど、ここから東は断崖絶壁。

岩の北側のすぐ下から、まずは北側に見えているびしゃ岳の岩壁に向かって背の低い木々の中を歩いて行く。一旦下って登り返すとさっきまでいた千畳ケ岳の平らな頂部が見えた。

 

 

ここでもテープがあるので迷うことはないが、次第に傾斜がきつくなり、シダの茂みを深くなってきた。今の時期でこの状態なら、夏場になると道は不明瞭になるだろうな。

 

 

急登を登りつめるとやっと稜線に出た。ただしこの尾根は北に向かって続く尾根。しばらくは尾根に沿って北に向かって歩い、所々で尾根の東側を巻きながら下って行く。

 

 

 

途中で道の北側に展望岩があり、見下ろすと麓の採石場が見えた。今日は土曜日でお休みなのか重機は動いていなかった。この採石場の西側にもさらに大きな灘山採石場があるが、現在はほぼ停止状態にあるという。

大阪城の石垣にも使われ、島の産業として賑わった石材業も、輸入石材に押され、石の用途も変わって廃業する業者も多いようだ。

 

 

展望岩から少し先で一ヵ所ロープで降り、さらに歩いて行くとまた展望岩に出た。

ここからは吉田富士・吉田山が見下ろせ、千畳ケ岳の平らな岩もよく見える。

 

 

 

 

展望岩からは今までの尾根から外れて、東に向かって吉田富士への尾根になる、このルートで一番長いロープ場の下り。結び目のあるロープはほんと助かる。

 

 

 

 

長いロープを下りきるとルリちゃんが待っていた。麓から一人で登ってきてここから東の分岐で待っていたが、待ちきれずにこのロープ場まで来たそうだ。

ロープ場からは踏み跡も薄い樹林帯の中を、テープを目印に下って行く。すると急に花崗岩が風化した幅広い尾根に出た。目の前には吉田富士の岩塊が直ぐ近くに見える。

 

 

千畳ケ岳までは赤い矢印が岩に書かれてあったけれど、この辺りになると青いスプレーで『吉田フジ』と書かれている。大嶽でも青いスプレーで印が付けられていたけれど、同じ人、山の会の人たちが付けたのだろうか?

 

 

吉田富士の岩塊もピークは広場になっていた。三人そろったのでここでお昼ご飯にする。

ここからは千畳ケ岳から歩いてきた稜線が見渡せた。それにしても今日は風もほとんどなく、青空が広がり青く広がる海を見渡せ、島ならではの景色が楽しめる

 

 

 

 

 

お昼ご飯を食べ終えたらバスの時間が気になり始めた。北回りのバスの便数は少なく、吉田からの上りの便には時間的にうまく乗れそうになく、下山後は福田まで県道を歩いて南回りの便に乗ることになる。

本当ならもっとゆっくりしたいところだが、この景色に名残惜しんで吉田富士を後にする。

吉田富士の岩稜は段々になっていて怖くもなく下りやすい。以前にWOC登山部でここに来た時に、下から見上げて『私は怖いので登りません』と言って登れなかったNさんは、それ以降かわいそうに『ヘタレ!』と呼ばれるようになったのを思い出した。

岩稜を下ると霊場82番札所吉田庵から登ってくる分岐に着く。しばらくは自然林の中の尾根歩き。

 

 

吉田山が近づくとまた露岩が現れる。振り返って木々の間から見えた千畳ケ岳の頂部は、サイコロを積み上げたような形になっていた。尾根の右手の大岩を登ると吉田山山頂。山頂の露岩に腰掛けてあっちゃんルリちゃんに、歩いてきたルートを説明している。

 

 

 

見落としそうな木の枝に掛けられた山頂札は吉田山の文字が消えかかっていて、よ~く見るとなんとなく吉田山と書いてあるのが分る程度だ。こういう時は油性のマジックを持って来ていたらといつも思うのだが、いつも忘れてしまっていて持ってきていない。

 

 

以前WOC登山部で来た時はここから折り返して吉田富士を登ったのだけれど、今日はこのまま東に尾根を下って行く。一旦登り降りして更に小さなピークを登ると展望岩に出た。

 

 

 

正面には家島諸島の中で一番大きな西島が正面に見える。島の西半分は巨大な採石場になっていて、良質な花崗岩安山岩が採れるらしい。家島諸島は大小44からの島々で構成され、古くから歴史のある島だ。そして少し右下には静かな湾内に造られた港にヨットが停泊し、その横にはリゾートホテルが見下ろせた。

 

 

 

 

展望岩からまだ先の藤崎へと歩いて行く。海沿いらしい木々の中を歩き最後にひと登りすると、今日始めての三角点 二等三角点 吉田 119.03m

 

 

 

吉田の三角点からも藤崎に向かって下って行く。半島を回り込むように続いている県道土庄福田線が左手に見えているが、急な法面になっていたので右下に向かってテープを見ながら降りて行くと、県道に飛び出した。

 

 

ここから南回りのバス停のある福田港までは4kmの下道歩きとなる。吉田湾を回り込むと先ほどのリゾートホテルが見えた。その左上に見える法面保護のコンクリートの左裾野辺りが尾根から降りてきた場所だ。

 

 

道の脇には石材の地区らしく、作者と作品名が書かれた石のオブジェが、所々で展示されている。

福田港の南側の小島の前を、姫路行のフェリーが走っている。小島へはコンクリート突堤と、岩が積み上げられていて島側から渡る事ができる。WOC登山部でも吉田山に登った後に、『さぬき百景・福田海岸』に車を停めて島までメンバーと歩いた思い出がある。

 

 

 

緩やかな坂道を下って行きながら、水面が光るのどかな福田港を眺めながら歩いて行く。小豆島の北東の玄関口といっても、福田の町は港の間際まで山が迫った小さな港町だ。フェリー乗り場の手前に南回りのバス乗り場があった。予定よりけっこう早く着いたので周辺を歩いていると、CLTという珍しい工法で建てられている建築現場が目に付いた。打ち合わせをしている人に声をかけると、施工している会社の社長さんだった。

少し質問をすると現場の中まで案内してくれて、最上階まで上がりながら色々と詳しく説明してくれた。まだまだ説明したらなそうだったが、バスの時間が迫ったのでお礼を言って現場を離れた。

 

 

 

南回りのバスは草壁までは初めて通るルート。途中の橘地区からは直ぐ真横にあの拇岳が見える。それまで車酔いしていたのか目を閉じていたあっちゃんが、『あっ、拇岳が見える!』と言ったとたんに、ガバっと目を見開いた。間近で見る拇岳は今まで遠くから眺めていた形とは少し違った形に見える。

車窓に見えた拇岳を見ながら、以前にセニョさんと歩いた拇平から千羽ケ岳、そして拇岳のルートを説明すると、今までぐったりしていたあっちゃんの目がギラギラ輝いた。やはり小豆島の最終仕上げはあの山域になりそうだ。

 

土庄港ではフェリーの出航まで結構時間があったので、奥様たちはお土産売り場を物色。私はというと北に見える皇踏山を、10年以上も前に山楽会のメンバーと一緒に登ったのを思い出しながら眺めていた。

登山道はたしか今見えている二つの岩肌の間を降りてきた記憶があるが、あの岩壁も面白そうだななんて考えながらフェリーに乗り込んだ。拇岳の前に皇踏山。まだまだ楽しめそうな小豆島だった。