風に吹かれて塔丸は晴れ時々涼風でした。

 

ここ一ヶ月、花めぐりと称してほとんど散策程度しか歩けていないうえに、エアコンの効いた事務所で一日中ほぼ座りぱなしで身体は怠け放題だ。さりとていきなり長い距離の山歩きも自信がないので、少しづつ距離や時間を伸ばしていくことにして、まずは軽めに塔丸を歩きませんかと西の奥様をお誘いをした。その際『秋風吹く稜線歩きとウメバチソウ』とタイトルを付けたが、さて初めてのウメバチソウは見ることができるだろうか?

 

過去に待ち合わせをした貞光の道の駅『貞光ゆうゆう館』の第二駐車場は、『この駐車場は道の駅の利用者のみ・・・・』と張り紙をされたので、ここ最近は貞光から国道438号線を南に少し走った路肩が広くなった場所で待ち合わせをして車を停めるようにしている。(平日の道の駅の第二駐車場はガラガラで、車一台くらい停めてもと思うのだが・・・。)

 

朝7時に待ち合わせをしたら西の奥様はほぼ時間通りにやってきた。開口一番『眠たくて死にそう!』と仰る。そう、奥様は山にはめっぽう強いが、朝にはめっぽう弱いのだ。まあ中学生や高校生の女の子じゃあるまいしと思うのだけれど。

その待ち合わせの場所からは約1時間強で塔丸の登山口に着いた。地形図には塔丸と載っているが、この取り付きの道標には塔の丸と書かれている。8時15分スタート。

 

 

最初はウラジロモミやダケカンバの森の中、緩やかな傾斜の道を歩いて行く。すぐ横の尾根の北側にあって、林床には苔が生え倒木にも苔がまとわりついていて、体感温度以上に目で涼しさを感じることが出来る。

 

 

その森を過ぎ足元が笹に変わると道はトラバースの道になる。緩やかな登りだった道も一旦下りになる場所もあり、奥様が『これ登っているの下っているの?』と仰っている。一ヵ所ザレた場所には谷側にロープが張られていた。

 

 

 

切株に小石で顔を?作っていた。南側の尾根に近づいてくると木々の間に朝の光が差し込んできた。

 

 

トラバース道が尾根に合流して小さなピークを登ると四等三角点 塔丸東 1579.11m

その三角点を過ぎると正面に塔丸山頂と、その脇の三嶺が目に飛び込んできた。

 

 

 

するとさっそく道の脇に今日のお目当てのウメバチソウが数輪咲いていた。このところお目当ての花を求めて山の中をウロウロ探し回っていたので、今日はあっさり見つけることが出来て、感激と同時に少し拍子抜け。

 

 

この稜線上で一番大きな石灰岩の白い大岩はこのルートのシンボル的存在。笹原の緑とのコントラストがなお一層その白さを際立たせている。その大岩の横を過ぎると今日のメインストリートの笹原稜線と塔丸三嶺が見渡せる。

 

 

 

道で分けた笹原の両側にはリンドウミヤマアキノキリンソウの二色が目立っていた。

秋の花とは別に風に揺れるススキの穂が秋の訪れを感じさせてくれる。

 

 

 

 

笹原を気持ちよく歩いていると、道の脇の大岩の赤銅色が目に付いた。近づいて見るとこれって花の終わったチャボツメレンゲかな?。

 

 

 

さらにその先の大岩に登ってみると、祖谷側から一気に涼しい風が吹き上げてきた。いつになく奥様が上がってこないと思っていたら、岩の横に回り込んで何やら覗き込んでいる。とにかく先端がお好きな奥様。

 

 

 

今日は午後から雨の予報だったので、その雨が気になってお昼までには下山しようと決めていたが、あちこちに咲いている花のお陰で、なかなか前に進まない。今のところ青空が広がっているので、まあいいか・・・・!

 

 

 

 

 

今日は事前に奥様が『藍住のおげった』さんのYAMAPを見て、今日の花の絵を紙に描いて持ってきていた。5種類ほどの花が紙には書かれていたが、今日はさっそく3つの花をゲットできた。その中の一つがセンブリだった。

 

昨年同じ時期に来た時は、山頂で出会った方がウメバチソウが『いつもの場所に咲いていない』と探し回っていたが、今日は度々目に付いた。場所によっては群生地とまではいかないが、一ヵ所にまとまって結構咲いている場所もあった。

 

 

 

 

 

ワンワン岩を過ぎるといよいよ山頂手前の最後の登り。ここで今日最後に残っていたお目当てのタカネオトギリが咲いていた。

山頂直下の樹林帯の中を登るとラストスパート。

 

 

 

 

山頂標は山友のREIKOさん達が先月登ってきたときは文字が消えていたが、今日は誰かがマジックでなぞったのか少し色が付いていた。

 

 

お昼ご飯は下山後と決めていたので、ここでは南斜面の平らな岩に座って、行動食のおにぎりを頬張り、奥様が分けてくれたアイスコーヒーが冷たく喉元に落ちていく。

 

南に剣山から三嶺へと続く稜線を眺めながら、『あの辺りが丸石で、あそこか高ノ瀬かな?』などと話しながら視線を周りに移すと、ここでもあのウメバチソウがけっこう咲いていた。南の斜面を吹き上げてくる爽やかな風に、細い茎の先に咲く小さな清楚な花がゆらゆら揺れている。

山頂の三角点は 三等三角点 塔丸 1713.01m

 

 

 

 

西の空が少し怪しくなってきた。もっとゆっくりしたかったが、『予定より少し時間がオーバーしてるから、それじゃ下りましょうか!』と言って重い腰を上げる。

直下の樹林帯を過ぎ鞍部まで下って行くと、登りでは全く気が付かなかったあちこちに、タカネオトギリが咲いていた。

反対から見ると犬には見えないワンワン岩。

 

 

 

ワンワン岩を過ぎると、山頂手前のピークの緩やかな笹原が広がっている。北側に見える矢筈山から寒峰の稜線も、往路に比べると少し霞んできている。所々で立っている白骨林も絵になるな~。

 

 

 

以前にむらくもさん坊主さんが歩いた塔丸北面を歩きたくて、小島峠に車を停めて自然林の紅葉と山頂直下の笹原を堪能した後、このピークから北に小島峠に向かって下って行ったが、今日はその場所に一本の木が立っていた。

 

 

 

朝写真に撮った岩の上のリンドウも陽が当たってか、朝に比べると花びらを広げていた。そのリンドウの咲く岩の上で同じように手を広げている奥様。

 

 

稜線歩きが終わると、往路のトラバース道ではなく、その上の尾根を辿って歩いて行く。昨年独りで塔丸に登った時に、帰りに歩いた道だ。

最初は踏み跡を見失ったが、テープが所々で巻かれていたので、それを辿って行くとはっきりとした道が続いていた。

 

 

 

小さなピークを登る場面もあったが、比較的緩やかな道が続いて行く、静かな静かな森の中の道。『どこまでも歩いて行けそうな素敵な道ね』と奥様。

尾根には東祖谷つるぎ町の境界杭が所々で立っている。その杭の横に白い小さな赤ちゃんキノコ、そこからしばらく歩くと同じ大きなお母さんキノコが生えていた。

 

 

 

静かな森歩きも30分ほどで国道に出た。いつもは車で通る道を夫婦池へと歩いて行き、車を停めた場所まで戻って行く。

 

 

一旦車に乗り込み夫婦池の横の東屋の前に車を停め、池まで降りてベンチに腰掛けお昼ご飯にする。今日は何年振りかにバーナーを持ち込んで、お湯を沸かして3分でできるというスパゲッティを食す。

池の上にはパラパラと雨粒が落ち始めたが、ほとんど濡れずにご飯を食べ終えれた。

終日お青空とはいかず、予定していた秋風も時々吹く程度だったが、それでも秋の花を愛でながら、揺れるススキの穂を眺めながら、秋の訪れを少し感じることが出来た稜線歩きができ二人で満足して帰路についた。

 

 

今日の花たち