
ここ最近、椅子に座って仕事をしていても左膝に違和感を感じていた。先々週に大山の正面登山道を2時間以上直降としたらさらに右膝も痛み始めた。
左膝は先々週から病院でヒヤルロンサンを注射してもらっていたが、先週右膝もついでに打ってもらった。
身体とは別に、今週に入って直ぐに熱中症警戒アラートが発令され、最高気温が30度を軽く超える猛暑となったので、低山では暑さに弱い私にとっては膝どころではなく、少しでも高い山をと考えて、膝の調子の様子見もあるので軽めに剣山を歩くことにしたが、さてさてどうなることか?
天気予報では曇りマークになっていたが、一宇を通る頃にはフロントガラスにパラパラと雨粒が落ちてきた。少し不安になりながらも夫婦池を過ぎて見ノ越側になると、目の前には青空が広がっていて一安心。
見ノ越の駐車場には四国電力関係の車が数台停まっていて、作業着を着た人たちが忙しなく何やら準備をしていた。

いつものように劔神社の石段を登って9時前にスタートする。境内にある温度計は22度まださほど暑さは感じない。


それでも直ぐに額からは汗が落ちていく。しばらくしてトンネルに差し掛かるとすでにリフトが動いていて、ザックを体の前に抱えた何人かの人が乗っているのが見えた。
前を歩く年配のご夫婦は奥さんがしきりにご主人に話しかけている声が聞こえてくる。いつまでも二人一緒に歩いている姿を羨ましく思う。



白い道と周りの圧倒的な緑の中で、見出標の赤く塗られた大きな石柱は異彩を放っていた。すると後ろから男性が二人近づいてきたので道を譲る。後ろの男性がザックに付けたクマ避けの鈴の音が静かな森の中に小さく響いていく。
空はまだ暫くはもってくれそうだ。



崩れて足元の悪い場所は足場板を敷いて歩きやすくしてくれている。他にも道には溝を掘って、降雨の後の雨水が流れやすくしているヶ所が何カ所もあって、いつも整備をしてくれている山頂ヒュッテの人たちに感謝。


定点観測の場所からはまだ新緑の残る山肌の上に、雲海荘の青い屋根はいつもと変わらぬ姿。そこから少し先では次郎さんも元気な姿を見せてくれていた。


西島駅ではリフトから外国の人たちが数人降りてきた。もちろん半袖短パン姿だ。
正面の三嶺や右手の塔ノ丸は新緑からほぼ深緑の山肌に変っていたが、その山容はいつもの変わらぬ姿だ。


西島駅から刀掛けの松へと登って行く途中で、電力の人が作業をしていた。いままで目にしなかった送電線が道の脇に続いていた。


今日は膝の調子を心配したがそれ処ではなく、急に足が重くなってきた。1週間が開いたとはいえとにかく息が上がって前に足が進まない。これはひょっとして熱中症?・・・と思ったが、まだ気温は20度強のはず。こまめに水分を採るがいっこうに良くならないので、刀掛けの松のベンチで腰掛けてザックを肩から降ろして、経口補水液を口に入れてみる。
前回の大山からカメラバックをショルダーからチェストバック風にフロントへ切り替えてみたが、ザックと一緒に降ろしてみるとシャツの前側がびっしょり汗で濡れていた。
考えてみると背中はザックで、胸はカメラバックで塞がれていて汗の逃げ場がなかった。ショルダーからチェストに切り替えて首の負担がなくなって良かったものの、逆に体温調節として考えるとデメリットだと分かった。
予定では一ノ森へ廻って剣山の山頂にと思っていたが、どうにも身体のダルさが取れない。このまま山頂に行こうかと考えたが、水分を採りさらに行動食を口に入れしばらくすると少しマシになってきたので、気持ちを切り替えて、テンニンソウをかき分けて続く行場への道を歩いて行く。


8月になるとキレンゲショウマ目当ての人たちですれ違う道も今日は静かだ。いつも思うのだけれど、鶴の舞の大岩は、どこから見たら鶴が舞っているように見えるのだろうか?


キレンゲショウマが咲くまでは『私が主役よ!』と言わんばかりにヒメレンゲがそこらじゅうで咲き誇っていた。お花畑というよりは花自体が小さいので、黄色い絨毯といった感じだ。
すると下から年配の男性が登ってきた。すれ違いざまに『この道は剣山に行く道ですか?』と聞くので『このまま行くと一ノ森へ行きますよ』と教えてあげると、スマホのYAMAPを見ながらさらに訪ねてきたので、『少し登って行くと不動の岩屋の道標があるので、そこから登ると急登ですけど山頂へは近道ですよ!』答えてあげる。

行場のおくさりも白い岩が今日は乾いていて登りやすそうに見えたが、この膝ではなかなか難しそうだし、メタボのお腹とザックがやっぱり狭い岩の間で引っ掛かりそうだ。西の奥様がいたならザックを下ろしてすぐさま登って行っただろうに。

キレンゲショウマも当然蕾の姿かたちもなく、8月のワンマンステージに向けての準備中だ。


途中にある両剣神社には今日は寄らずにそのまま右手に下って行く。小さな谷筋の水の流れを渡ってさらに歩いて行くと、穴吹川源流の谷になる。先週の降雨のせいか、谷には勢いよく水が流れ落ちていた。





カニコウモリの群生地の間の道を歩いて行くと表参道からの分岐。本宮劔神社から登ってくると途中で通行止めの看板の立つ場所へ下って行く道だ。


こちらの道でも足場板で補修がされていたけれど、斜めに傾いていて手すりがないと渡るのがけっこう難しくて、バランス感覚が問われる。
緩やかな登坂が続く道。どれくらい歩いただろうか、木々の間から一ノ森の頭がチラッと見えた。殉職の碑のある剣山と一ノ森との三差路まであと少しだ。


三差路の稜線に出ると笹原を撫でて涼しい風が吹き抜けてきた。今まで少し蒸していた森の中の道から、一気に爽快感が広がった。
その笹原に立つのはシコクシラベだろうか?その木が作っている涼し気な木陰で昼寝をしたら気持ちよく昼寝ができそうだ。


三差路から直接一ノ森へと登って行く。山頂下の見晴らしのいい場所では、西島駅の手前で追い抜いて行った男性二人がお昼ご飯を食べていた。
山頂は誰一人いない独り占め。


太郎・次郎、そして槍戸山さらに南側に広がる山々は、山座の同定ができないが360度の大眺望だ。
こちらも山頂下の景色のいい場所でお昼ご飯にする。今日は賞味期限が1ケ月前に切れていたカップ麺。あとのせの天ぷらがサクサクで美味しかった!



不安だった体調も空腹が収まると調子が戻ってきたような気がする。
カップ麺と水分もたっぷり口に入れて一ノ森をあとにする。


三差路の先で振り返っての一ノ森。その先のシコクシラベの林の中では、三脚を立ててバズーカのような白いレンズで写真を撮っている男性がいた。
『何か咲いているんですか?』と尋ねると、『花ではなくて鳥です』と答えてくれた。
お目当てはルリビタキだそうで、まだ生まれて3ケ月ほどなのでそれほどきれいではないのですがと教えてくれた。この林でずっと前から観察しているようだ。
鳥を撮る人が同じ場所でじっと構えて待つ姿は、釣り人と共通するところがある。この先写真の興味の対象が変われば鳥も撮るようになるかなと思ったが、自分にはじっと待つなんてやっぱり無理かなと。



シコクシラベの林を抜けると、剣山山頂に続く稜線になる。今日は気温が高いので少しでも標高の高い山にと思って出かけてきたが、そんななかでもここからの稜線歩きも楽しみにして来た。
明るい緑の笹原に一筋の登山道が続き、その笹原には白い白骨樹が並んでいる。涼風が吹く中を目当ての道を、とても気持ちよく歩いて行く。



山頂手前のピークを越えると木屋平側の景色も広がっていた。先ほど行場で見た穴吹川の源流の小さな谷から発した水の流れが次第に太くなり、谷あいを蛇行しながら続いている。

山頂までの最後の登り。息を切らせて登って行くと、今歩いてきた稜線に続く道が振り返ると見える。東のテラスからは山頂に人がいるのが見えたが、梅雨時の平日のせいか、いつもよりは人が少ないような気がした。


山頂トイレで用を足し、建屋の横から山頂への木道を歩いて行くと何か抗議デモでもあったのかと思うくらいの看板が立っていた。この北側の木道ではそれほど目立って看板は立っていなかったのに、こちらの数は凄まじい。

山頂ではやはり人が少なく、中国語を話す4人の男女がいるだけだった。
山頂標と次郎さんへの稜線の写真を撮ったあと、直ぐに西のテラスへと移動をする。


テラスに腰掛け今日の二つ目の目当てのコーヒーを淹れる。
山頂に集まる人影と次郎さんを眺めながらのんびり。空は青色が少なくなり白い雲で覆われ始めた。雨が降る心配はなさそうだけれど、今日は下山後もう一つの目当てがあるので、寄道せずにこのまま本宮宝蔵石神社から下って行くことにする。




取りあえずヒュッテ前のきころんに挨拶して下り始める。


下山道から見える丸笹山。そう言えばしばらくあの山も登っていないな~。
ヒメウツギと足元に咲く白い花は何だろう。
すると木屋平側を眺めていた年配のご夫婦から声をかけられた。見ノ越のトンネルを抜けてコリトリに続く国道を指さし『あの道は貞光に続いているのですか?』と尋ねられたので『今見えているのが木屋平で道は穴吹に続いています』と答える。ご夫婦は高知から祖谷を通って来たらしいが、帰りの道を考えているらしかった。
『貞光へ抜ける道もクネクネでそこから三好市を回って行くので、もと来た祖谷の道の方がマシだと思いますよ』と教えてあげる。



比較的時間も早かったので、いつもなら登ってくる人とけっこうすれ違うのだけれど、今日は数組登山服の人たちと、普段着の観光の中国の人とすれ違うだけだった。
そんな中でも若いカップルが登ってきた。足元を見るとサンダルだったので、『サンダルで?』と声をかけると、二人が同時ににこやかに『ハイ!』と答えた。若いっていいな~と思った。
膝の調子はまずまずだったけれど、前半の体調不良は果たして何だったんだろう。何はともあれ、これからはとにかく暑さに弱い私にとっては暑さ対策が一番。
夏のシーズンを前に色々と考える事がありそうだ。

帰り道の夫婦池は風もなく、湖面は鏡のように周りの景色を静かに映し出していた。

今日最後の目当ては久藪の紫陽花。
一宇の街に入る手前で、石鉄神社の赤い大鳥居から登って行くと久藪阿弥陀堂がある。前回津志岳に登った時には全く気配もなかった紫陽花が、満開にはまだまだのようだったが色とりどりの花がきれいに咲いていた。この日曜日にはあじさい祭が開催され、キッチンカーも出店して賑わっていたようだ。
いつもはひっそりとした山間の集落が大勢の人たちで賑わう風景を目に浮かべるが、他の集落では年々そういったイベントが、住民の高齢化や鹿害もあって開催が難しくなってきている。この久藪も限界集落が消滅集落にならないことを願うばかりだ。



ここからは今日剣山でたくさん目にした白色と黄色の花たち













ここからは紫!


