初めて見る、筒上山・手箱山のシロヤシオ!

 

 

ここのところの花めぐりは、山友さんやYAMAPの活動日記を見ての後追い。今日はアカリプタさんの活動日記を見て、そろそろ終盤だがまだ間に合いそうなシロヤシオも見に筒上山手箱山に出かけてきた。

何度か来た事のあるこの山域もこの季節に出かけるのは初めて。そして西の奥様は初めて登る山だった。

スタート地点となる土小屋は自宅からはおおよそ180km、3時間30分かかる、なかなかヨイショのいる距離と時間だ。でも最後に走る瓶ケ森林道はいつ通っても絶景が広がっていて、その距離も苦にならない。ただ今日は寒風山トンネルを抜けてからのクネクネ道で、後ろの座席で奥様は目を閉じて気分悪そうにしている。

 

今日の目的地の筒上山手箱山も見える。

 

さすが人気の石鎚山だけあって、平日にもかかわらず土小屋の回転広場の駐車場はもうすでに満車だった。下の駐車場に車を停めて準備をしていると、何組かは岩黒山への登山口に向かっていた。

 

 

前回歩いたのは何年前だっただろう。その時は岩黒山経由で手箱山まで歩いたが、岩黒山までの笹に覆われた道でズボンがびしょびしょになった記憶がある。

奥様も岩黒山には登っているので、このまま直接手箱越を目指すことにする。

 

歩き始めてしばらくしての水場では冷たい水が勢いよく流れていた。さらにその先では苔むした雰囲気のある岩の日本庭園の中を歩いて行く。

 

 

登山道は整備されていて、段差のある場所にはロープが架けられ、谷筋には木の桟道が渡されている。

谷側にはウラジロモミの林が続いていく。常緑針葉樹の林はどこか北国の雰囲気がするけれど、実際は福島以南から中部、そして西日本では紀伊半島と四国に分布する木のようだ。常緑の濃い緑の林を抜けると、次は新録の明るい緑が目に入る。

 

 

 

 

途中で一ヵ所、南尖峰とその奥の西ノ冠岳から二ノ森に続く稜線が見えた。すると奥様が『墓場尾根はどの辺りだろう?』と。『たぶん、南尖峰から左に落ちた肩あたりかな?』と答える。

展望所からしばらく歩くと丸滝小屋に着いた。小屋の壁には『丸滝山修験道場』と書かれていて、実際は山小屋ではなく筒上山一帯を山岳信仰・修行の場としている『大峰宗(おおぶしゅう)覚心寺』の道場になっている。

 

 

丸滝小屋からは一旦下って行く。鞍部からは緩やかな登坂が続いて行く。途中1596mのピークの下の崖になったヶ所には、鉄骨造の床の下地として使われるデッキプレートを敷いた桟道が設けられている。角波型のプレートは渡って行くとけっこう大きな足音がする。そのせいで人影は見えなくても、先の方で誰かが歩いているのが分る。

 

 

 

 

 

桟道を過ぎ、筒上山山頂への分岐を過ぎると、アカリプタさんが書かれていた名野川ルートの上部に差し掛かる。名野川ルートへの合流点は立ち枯れた木が目印。その手前から折り返すように笹の道をかき分けながら下って行くと、今日お初のシロヤシオ

尾根筋の木は背が高く、見上げてみると花はほとんど散っていたけれど、尾根の脇には所々でまだ花を残した背の低い木があった。尾根筋で目に付く木の本数は結構な数なので、花が満開の時は随分と見ごたえがありそうだ。

 

 

 

ツクバネソウ

 

ある程度尾根を下ったところで引き返す。(この枯れ木の手前が名野ルートの合流点)

 

『緩やかでとても歩きやすい道ね!』と奥様。『たしか手箱越の手前で少し急登になっていたと思いますよ』と答えると、YAMAPを見た奥様が『あら、もうひとつお花マークがある!』と仰る。

先ほどの名野川ルートの上部にもお花マークがついていたが、次にお花畑と言えば、

『そうそう剣山に咲いている、あの花?』と言いながら花の名前が直ぐに出てこない。それを聞いた奥様が『キレンゲショウマ?』と答えてくれた。

YAMAPのお花マークの場所に差し掛かると、やはりキレンゲショウマの群生地だった。道の脇はロープが張られ保護されている。季節的にもちろんキレンゲショウマは咲いていないが、代わりにヤマシャクヤクが数輪まだ花を残していた。

 

 

 

ミツバテンナンショウ

 

剣山のキレンゲショウマは行場の険しい岩の斜面に咲いているが、この辺りも岩肌の急な斜面になっていて、剣山の行場と雰囲気が似ていた。

 

お花畑を過ぎると傾いた桟道が現れる。角波の裏表を反対してステップにしているけれど、水が溜まるせいかプレートの部分が錆びて穴が開いて今にも朽ちて落ちそうだ。

 

 

手箱越までの最難関?箇所を過ぎると、道の脇にはコミヤマカタバミが乱舞していた。

小さくて可愛らしい花だけれど、いつもうつむき加減で写真に収めるのが難しい。

 

 

 

手箱越の直前で石門を抜けると目の前に城壁を思わせる圧倒的な高さの石垣が現れる。何度も見ている私でもやはり見ごたえのある石垣。初めて見る奥様はなおさら驚きを隠せない。

 

 

 

この花も一緒で小さくてピントが合っていないワチガイソウ。

 

手箱越では男性と女性が休んでいた。私たちも取りあえず行動食を口にして一息入れる。シロヤシオを写すのにはやっぱり青空がいいけれど、暑さに弱い私にとっては今日の曇り空くらいがちょうどいい。

 

 

一息入れた後奥様に『さぁ~手箱山まで行きます?』と聞くと、『もちろん!』と即返事が返ってきた。途中で名野川ルートへ下りたこともあって予定時間をオーバーしているけれど、まぁ取りあえず行ってみる事にして、手箱大権現の鳥居を潜る。

荒れた石段を登って行くと直ぐに道の脇に、ツルギミツバツツジの派手な色が目に飛び込んでくる。

 

 

手箱山への尾根の北側を回り込むようにして歩いて行くとそのうちに尾根に飛び出す。

右手に笹の斜面が広がり、南の峰々が見渡せた。

 

 

稜線に出てひとつめの小さなピークには新緑の中にミツバツツジ濃いピンクの色が浮かんでいる。そのピークの側まで来ると道はミツバツツジに覆われたプロムナードになっていた。

 

 

 

 

小ピークの脇を抜け少し下がると、先ほど手箱越で話をしてお二人が左手の斜面側から降りてきた。すると女性の方が『ここにきれいなのが咲いていますよ』と指さす方向を見てみると、明るい緑の葉が埋まりそうなくらいにシロヤシオの花が枝いっぱいに咲いていた。

 

 

 

その鞍部から今度はまた小ピークの北側を回り込み歩いて行くとまた笹原尾根に出た。

その尾根に出て直ぐにシャクナゲとオオカメノキそしてミツバツツジの三色そろい踏み。シャクナゲもこれくらいの薄いピンクの色が一番きれいなような気がする。

 

 

 

先ほどの鞍部の先ですれ違った男性が、『山頂標の後ろを下って行くと、またシロヤシオが咲いていますよ!』と教えてくれていた。

云われた通りに笹をかき分け下って行くと、ミツバツツジが並んだ脇にシロヤシオが咲いていた。この尾根を下って行くと名野川の登山口のさらに下の、大瀧(おおたび)の登山口へと続いているようだ。

シロヤシオミツバツツジが並んでいると、何だかめでたい感じがする。

 

 

 

 

紅白のツツジ?を鑑賞した後は笹原を登って、さてさて奥様待ちに待ったお昼ご飯だ。

先に着いた先ほどのお二人はカップラーメンにお湯を注いでいた。その横に私たちも腰掛けて色々とお話をする。

男性は私の隣の市の方。女性の方は県違いだが女性は男性を『師匠!』と呼んでいた。師匠はまだ初心者だと言う女性を、段階を踏んであちらこちらに連れていってくれていると、明るく楽しそうに女性が話をしてくれる。

更に話をすると、今日はこの次筒上山に登るかどうかを迷っていると言うので、『鎖場があるから?』と尋ねると、『鎖は大丈夫なのですが、山頂から北の下りが急らしいので、下りが苦手なんです』と仰った。『でもせっかくここまで来たんだから、筒上山は登りましょう!』とお誘いした。

 

 

 

腰掛け私たちもカップ麺を頂く。3分待つ間に横を見るとコヨウラクツツジ。これは花になるのかな?おちょぼ口が可愛らしい!

 

お二人はまだ筒上山に登るかを迷っていたが、取りあえずは先に出発をして行った。後に続いて我々も手箱山を後にする。山頂から手箱越までの途中の道は、前回夏に来た時にはいろいろな花が咲いていたが、今日も小さいけれど可愛らしい花が咲いている。

 

これはコミヤマカタバミアカバナ?まるでフウロのよう

 

なかなか開いた顔を見せてくれない。

 

 

 

大きな葉に小さな花をつけたエンレイソウ

 

山頂からは35分ほどで手箱越に着いた。途中で抜いたお二人は後ろからゆっくり降りて来ている様子だ。

道場横の石垣に沿って登って行く。白い鳥居を潜って更に登って行くと鎖場の下に着いた。

 

 

 

奥様にとっては今日のもう一つの楽しみの鎖場だったが、『意外と登りやすいわね』と拍子抜けした様子だ。鎖のほかに何本もフィックスロープが掛かっていて紛らわしいが、少し上になってくると足掛かりが少なくなって、鎖ではなくそのロープを握って登るようになる。

 

 

 

鎖場を登りきると先ほど歩いてきた手箱山が見えた。足元には修験道場の大屋根と手箱大権現の白い鳥居が見える。

 

 

その場所からさらに進むと筒上山の尾根になる。笹原の尾根からは南尖峰から東稜の稜線に沿ってガスが昇って来ている。ただ南からの風が吹いているせいか、ガスがその稜線を越えられずにいる。

 

笹原の中でダンスを踊っている白骨林

 

山頂では大山祇神社が祭られていた。この筒上山はその昔、躑髑王(つつじおう)権現が祭られていたことでその名が付いたという。その祠の背中が石鎚山ビューポイントになっている。

 

 

この山頂には今まで登ってきたことがあったが、ここから北は笹に覆われているらしくて今まで躊躇していて未踏のルート。さっそく笹をかき分け下って行く。

 

先ほどの女性が言っていたような急な坂はなく、何カ所かの高い段差のある岩がある程度だった。ただ降雨の後で濡れていると滑りやすく少し難儀をするかもしれない。

 

先週の津志岳から北に下った道なきルートに比べれば楽勝だと二人で話をする。笹はけっこう深くなったり、笹が一面倒れてしまっていたりで踏み跡が全く分からなくなる場所もあったが、要所要所で赤テープもあり、尾根を外さないようにすれば迷うことはない。

 

 

すると往路の登山道に合流する少し手前で、今日一番のシロヤシオが咲いていた。

手箱山の稜線下のシロヤシロも良かったが、この木の花の密度が凄かった。

か細い枝に何輪もの花をつけ、すべての枝に花を咲かせている。アケボノツツジも色形が可愛らしかったが、一回り小さなこのシロヤシオの花は清楚でとても可愛らしい。

 

 

 

 

登山道まで降りてくると、道の先に一瞬親子クマかと見間違う切株が見えてドキッとする。

 

 

石鎚山にガスがかかってきていたように、この辺りも少し薄暗くなり、ガスが流れ始めた。桟道を渡り今日最後の坂を登ると丸滝小屋に着いた。

小屋の前では女性が腰を下ろして休んでいた。話し言葉で直ぐに高知の女性だと分かると奥様が朝ドラの『あんぱん』の話をし始める。

その女性によると以前の『らんまん(牧野富太郎のドラマ)よりもアンパンの役者の方言のイントネーションの方が、実際の土佐弁に近いわ』と教えてくれた。

 

 

丸滝小屋からは奥様が主人公のたかしとのぶの関係を、歩きながら熱く話しをしてくれるのだが、朝ドラの時間にはすでに事務所の机の前に座っていて、過去一度も朝ドラなるものを見た事のない私にとっては、その奥様の熱量がイマイチピンとこなかった。

前回の津志岳の下りがキツかったせいで、その後膝の調子がイマイチだったのだけれど、今日は最後に何度も大きな痛みが襲ってきた。以前から膝の調子が悪くなると、外科でヒヤルロンサンを打ってもらっていたが、今回も治療に行った方が良さそうだ。

 

行動時間6時間30分、距離にして10km強だけれど、標高差がそれほどでもなかったので、膝の痛みを除けば快適で歩きやすくてとてもいい山だった。

『あの二人は筒上山に登ったかな~』と言いながら、土小屋をあとにした。